トーク&シンポジウム「よみがえれ長良川〜河口堰20年•開門調査実現を!」

◆開催日:2015年7月5日(日) ◆会場:長良川国際会議場(岐阜県岐阜市)

トーク&シンポジウム

 7月5日トーク&シンポジウムに市民300名参加

「よみがえれ長良川」イベントの第2弾トーク&シンポジウムは長良川国際会議場で開催されました。

 午前9開場。会場には10mを超す河口堰年表が掲げられ、その前には多数の歴史的にも重要な資料・文献が展示されました。また、市民団体の活動資料や、長良川の環境実態を表すヘドロ、カニなども並べられ参加者が注目しました。


 午前は、実行委員会からのあいさつ・報告に続き、トーク「長良川に生きる」では漁師の大橋亮一さんと鵜舟の船頭平工顕太郎さんが登壇。味わい深い「世代をつなぐ語り合い」で参加者は感銘を受けました。 

 KenとMinoruのミニライヴ♪を楽しんだ後、午後からはシンポジウム「河口堰の開門調査実現を!」がスタート。熊本県球磨川からつる詳子さ んが「荒瀬ダム撤去」の取り組みを、茨城県那珂川からは浜田篤信さんが「霞ヶ浦導水路反対」のたたかいを、長良川河口堰問題は向井貴彦さんが報告した後 「河口堰開門調査に向けた」熱心な議論が交わされました。

 イベントの最後に300名の参加者で「よみがえれ長良川」集会宣言を採択しました。



会場展示

半世紀以上におよぶ河口堰史の文献•資料が集結

 多くのみなさまのご協力のもと、全長10mにおよぶ河口堰の歴史をたどりまとめた年表と、膨大な歴史的価値ある文献、資料の展示を実現することができました。展示年表は「河口堰問題 年表と資料」として冊子を制作、来場者に配布しました。


 前日の環境観察会で採取した長良川と揖斐川の川底土とヨシ原に棲息するカニを、会場に運び展示しました。川底に溜まった「ヘドロ」とシジミが棲息する「砂土」、明らかに異なるカニの棲息数は、堰のない揖斐川河口とのちがいと河口堰運用後の環境の変化をはっきりと示しています。

「河口堰問題 年表と資料」

A4版/全16頁/PDF(3.8MB)

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〈 集会宣言 〉

「よみがえれ長良川」集会宣言             
 
 「宝の川だった長良川は、魚の棲まないおぞい川になってしまいました。清流長良川は昔のことです。」 長良川とともに生きてきた川漁師の悲痛な言葉です。
 
 長良川の河口を塞ぐ河口堰のゲートが閉鎖されて、明日7月6日で20年になります。海との繋がりを断たれて、長良川の環境は大きく変わりました。
  河口堰下流部の豊かなヤマトシジミの漁場が失われました。堰上流部では、汽水域がなくなり、 広大な芦原は9割が姿を消し、生き物たちは棲みかと命を奪われました。堰はサツキマス、アユ、 ウナギ、ヨシノボリなど、海と川を行き来する生き物の大きな障害となっています。長良川の象徴 でもあるアユの漁獲高も激減し、魚苗センターでの稚鮎の生産と、漁協による河口の人工水路での 孵化放流で、ようやく漁獲を確保している現状です。人の手を借りてしか個体数を維持できないこ
とから、昨年,岐阜市のレッドリストで準絶滅危惧種に選定されてしまいました。 もの言えぬ生き物たちが私たちに、長良川の変化を必死で訴えているように思われます。河口堰 の影響は下流部だけでなく中流、上流へと及んできているのです。


 この20年は、失われてしまったものがいかに大切なものであったかを、改めて考えさせられる歳月でもありました。川の恵みを未来につなぐためにも、長良川をかつてのような、海とつながる豊かな川に再生しなければなりません。
 今、流域では農業や林業、伝統産業、観光などさまざまな分野で、地域にある豊かな資源を大切に使い、新たな取組みをはじめる若者たちや動きが生まれています。「鵜飼漁の技術」が国の重要無形民俗文化財に指定され、長良川中、上流域が「世界農業遺産」登録を目指すなど脚光をあびています。


 那珂川からの報告では、地域に根付いた漁業を守るために立ち上がった人々に感動しました。
 「川も流れてこそよみがえる。」
 撤去が進む球磨川の荒瀬ダム現地からの報告を伺って、そのことを確信し、希望を持つことができました。

 河口堰の目的であった工業用水は一滴も使われていません。最大の利水者である愛知県が委員会を設置し、環境改善のために河口堰の試験開門をしようと提案をしています。2010年に名古屋で開催された生物多様性COP10で採択された愛知ターゲットの中間年でもある今年こそ、長良川の再生のための大きな一歩を踏み出すときです。一日も早く、国と愛知、岐阜、三重の関係各県が話し 合いをもち、開門調査を開始することを切望します。
 
 長良川をよみがえらせるため、流域の、そして全国の心ある人々とともに、私たちはこれからも努力を続けていきます。
 
 
2015年7月5日 
「よみがえれ長良川〜河口堰20年・開門調査実現を!」 集会参加者一同